若者は今 移住し幼い頃からの手仕事で交流

田舎暮らしに可能性を見出す
茂木町鮎田 境野かれんさん(29)

日々是好日

 実家が東京の境野かれんさんは、大学進学で神奈川へ。その後、同じ研究室だったご主人と結婚。2013年に長男、15年に次男を出産。19年3月末に、ご主人が「東京での仕事より、もっと自然に親しみたい」と、転職し千葉県流山市から茂木町に移住した。
 かれんさんは幼い頃から裁縫に興味を持ち、幼稚園の時には針を持って縫っていたという。久し振りに裁縫を始めたのは長男の出産がきっかけ。スタイや小物などを作るうちに、子供服やご主人、自分自身の洋服なども作るようになった。現在は「子どもに寄り添うものづくり」をモットーに『little.k.t.karen』として、インスタグラムで布マスクやガーゼタオル、ヘアリボンなどを販売。また、STEP―1(茂木町増井)、自家焙煎真岡珈琲ソワカフェ(真岡市八木岡)、ハンドメイド雑貨屋Choctto(真岡市上高間木)でも委託販売をしている。
 コロナ禍でマスクが不足した際にインスタで販売したところ注文が殺到し、3・4月は400枚の注文があった。その際買ってくれた方が『子どもがKARENさんのマスク以外はつけたがらない』とリピートしてくれた。境野さんは「一つ一つ思いを込めて作っているので、私のマスクを選んで下さったことがとても嬉しかった」と話す。
 ずっと都市部に住んでいた為、田舎に住むイメージが湧かなかったが、茂木に越してきて生活してみると、ノスタルジックでどこか懐かしく、心が解放されていくのを実感した。子どもたちも毎日外で遊び、苦手だった虫も今では触れるようになった。近所の方々もいつも気にかけてくれて、いつの間にか遊びに行っている事もしばしば。季節の変化を楽しみながら、家族でのびのびと生活出来ているという。
 茂木での生活に「家族の時間が増え、心穏やかに過ごせている」と話し「洋裁人口が減っているので、販売を通して自分で作る楽しさを多くの人に感じて貰えたら。いずれはワークショップを開き、地域の方々とも手仕事を通じて交流を深めたい」と田舎暮らしの可能性を楽しそうに語っていた。

今号の記事

カテゴリー一覧