「足尾鉱毒」3部作一堂に

あすから県美「小口一郎展」版画家の生涯回顧

催し物

 足尾鉱毒事件をライフワークにした小山市出身の版画家小口一郎(1914~79年)の画業の全貌を紹介する「二つの栃木の架け橋 小口一郎展」=写真=が1月21日(土)から、宇都宮市桜4丁目の県立美術館で始まる。鉱毒事件を描いた代表作の連作版画「野に叫ぶ人々」(69年)、「鉱毒に追われて」(74年)、「盤圧に耐えて」(76年)の3部作など全約250点を一堂に展観する。3月26日(日)まで。
 幼少期から絵画の才能を発揮した小口は1946(昭和21)年、栃木市出身で北関東の戦後版画運動をけん引した鈴木賢二(1906~87年)らが結成した日本美術会北関東支部の活動に参加。サークル活動に取り組む中で田中正造や鉱毒事件を知り大きな衝撃を受けた。明治の近代化から第二次世界大戦を経て現代に至る足尾銅山と旧谷中村の歴史に真正面から向き合った。広く世に伝える方法を模索する中で、鉱毒被害に苦悩する旧谷中村の農民たちと正造。次に被害に遭った旧谷中村や渡良瀬川流域の農民らが北海道開拓移民として佐呂間の原野にわたり「栃木集落」を形成。過酷な生活と望郷への思いを募らせ、最後に銅山の坑夫(炭鉱員)たちの労働問題を取り上げた。
 開拓民が再びふるさとの地を踏んだのは1972年。小口自ら帰郷運動の世話役を務め、当時の栃木県知事が受け入れを表明した。「もう一つの栃木」から昨年でくしくも50年が経過。さらに県美が開館50周年を迎え、小山市の小口一郎研究会(篠崎清次代表)の全面協力で実現した。
 関連事業として、連作版画3作の映画「足尾鉱毒事件 野に叫ぶ人々」を22日、「鉱毒に追われて」を2月5日、「盤圧に耐えて」を同12日のいずれも日曜日午後2時~、同館集会室で上映。2月26日(日)午後2時から早稲田大名誉教授の安在邦夫氏による講演会もある。予約不要で各回定員80人。当日の観覧券が必要。担当学芸員などによるギャラリートーク(企画展示室)もある。
 一般900円ほか。月曜休館。(問)同館028・621・3566。

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