白器香炉(2006年)撮影:横堀聡

白器「ダイ/台」(16年)撮影:横堀聡

「ENERGY」(17年、茨城県陶芸美術館蔵)撮影:横堀聡

茶盌「御神渡り」(20年、国立工芸館蔵)撮影:横堀聡

白器「太陽」(20年)撮影:横堀聡

光と陰のコントラスト

10月9日まで・益子陶芸美術館 陶芸家和田的展

文化

 ひたすら磁土を削り続けたどり着いた独自の白磁世界で知られる千葉県佐倉市の陶芸家和田的さんの作品展が10月9日(月・祝)まで、益子町の益子陶芸美術館で開催中だ。開館30周年記念展で、「光と陰」をテーマに初期から最新作まで100点超を網羅。いま最も注目されている作家の全貌に迫っている。
 同館で和田作品の展示は4回目。2011年の「白の時代展」で初めて紹介。14年の「展開するチカラ展」、そして今年4月まで開いた「新たなカタチを求めて」では型成形と削りの技法を生かした気鋭の作家6人のうちの一人だった。
 冬の間、ろくろをひき、9カ月間、彫刻のように作品を削り上げる。直線と曲線が織りなすシャープな造形に心血を注ぐ。独自の技法から生み出される光と陰のコントラストが静謐な美しさを醸し出している。 
 代表作の白器「ダイ/台」や「表裏」、青白磁による押文作品、精緻な削りとは異なる技法で制作された「流氷」などを展示。一方、ステンレスや猫の手を模したような黒、青、白など5色のFRP素材によるユーモラスな「ふわふわ5!」(茨城県陶芸美術館蔵)も並ぶ。作家の多彩な顔をうかがいしれる。
 01年、文化学院芸術専門学校陶磁科卒業後、有田出身で佐倉に窯を持つ上瀧勝治氏に師事。翌02年、日本伝統工芸展初入選し、05年に独立。確かな技量が認められて同年、27歳の若さで日本工芸会正会員に推挙された。
 伝統的磁器制作を出発点に新たな境地を切り開き、07年新作陶芸展で日本工芸会賞に輝くなど数々の公募展で入賞。着実にキャリアを重ねている。
 23日(土・祝)午後1時半から、作家によるギャラリートークがある(要企画展チケット)。(問)同館0285・72・7555。

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