うちやま・れい 1988年7月4日、真岡市生まれの34歳。取材時は162㌢、91㌔。得意種目はスクワット。モットーは「ママでも日本一」

昨年11月の日本グランプリの表彰台で笑顔を見せる 内山さん(中央)

グランプリ会場で夫の直彦さん(右)と記念撮影

「きょひぃ’GYM」で 枝さん(右)と共に。 手にしているのはとち ぎ国体の賞状

競技歴2年での快挙「ママでも日本一」 さらなる飛躍誓う

真岡市出身内山麗さん パワーリフティングで日本記録更新

スポーツ

真岡市出身の社会人パワーリフター内山麗さん(34、宇都宮市在住)は昨秋開かれた「いちご一会とちぎ国体」の成年女子重量級で4位入賞、「第1回日本グランプリ選手権大会」の女子84㌔超級で優勝を果たし、両大会で一般女子日本記録(ノーギア)を更新した。パワーリフティングを始めてわずか2年での快挙。専業主婦であり一児の母の〝超新星〟はいかにして生まれたのか。その経歴と素顔に迫った。
陸上で頭角を現す
本格的にスポーツを始めたのは、真岡東中時代に出合った陸上競技。砲丸を投げる先輩の姿を見て「運動は苦手だけど『投げてみたい』と思った」。入部後、瞬く間に頭角を現し、1年のときに砲丸投げ、3年のときに円盤投げで県代表としてジュニアオリンピックに出場するなど活躍。真岡女子高、国士舘大を卒業後、県内の高校で保健体育の常勤講師などをしながら円盤投げをメインに競技を続け、数々の大会で入賞を果たした。
出合いは産後トレ
 2015年11月、27歳のときに夫の直彦さん(36)と結婚。20年5月に長女の陽葵さん(2)を出産した。パワーリフティングに出合ったのは同年12月。 競技に復帰するため産後トレーニングを開始したところ、同じジムに通っている枝和輝さん(35)から「女性で重量をやっているなら、パワーリフティングもやってみたらどうですか?」と勧められた。どういう競技か全く知らなかったが、いざチャレンジしてみると「成功できたときの達成感は格別」。負けず嫌いの性格も手伝い、どんどんのめり込んでいった。
とちぎ国体で新記録樹立
枝さんからの誘いをきっかけに、トレーニングの目的が陸上からパワーリフティングに変わった。3種目からなるパワーリフティングは、バーベルを肩に担ぎ屈伸する「スクワット」(SQ)、台の上で仰向けになりバーベルを胸の上で持ち上げる「ベンチプレス」(BP)、床に置かれたバーベルを両手で垂直に引き上げる「デッドリフト」(DL)のトータル重量を競う。「やるからには上を」という強い向上心で臨んだ昨年9月のとちぎ国体で成年女子重量級4位に入り日本新記録を樹立。同年11月の日本グランプリ女子84㌔超級では優勝を飾り、SQを170・0から175・0に、BPを92・5から95・0に、DLを168・0から170・0に、トータルを430・5から440・0にそれぞれ塗り替えて、自己新記録と共に日本記録を更新した。
活躍の裏に家族らの支え
わずか2年のキャリアながらすでに輝かしい成績を残す。その活躍の裏には、事務的なマネジメントや体のケアなどを担当する直彦さんをはじめとする家族と周囲のサポートがある。「主婦の立場で娘を育てながら競技ができるのは、家族やジム仲間、スポンサー様のおかげ。恩返しをするために結果を出し続けたい」。これまでは陸上も並行して続けていたが、今後はパワーリフティングへの完全移行も視野に入れている。次の目標は、1月28日から千葉県市原市のゼットエー武道場で開催されるベンチプレスのみ(シングルベンチ)の大会「第24回ジャパンクラシック選手権大会」での日本記録更新。癸卯年にさらなる飛躍を誓う〝主婦リフター〟に注目だ。

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