来社した町民と会話を弾ませる水野さん(左)

益子町 「人・モノ」の価値見出し持続可能な事業を

地域おこし協力隊から起業家へ
株式会社ディーアゴラ代表取締役
マーケティングプランナー
水野大人さん(40)

社会

 ―総務省が平成21年に創設した地域おこし協力隊―益子町の水野大人さん(40)は協力隊として益子町観光商工課タウンプロモーション係に1年9ケ月勤務していたが辞めて起業し、4月1日、新会社「株式会社ディーアゴラ」(益子町城内坂3)を設立し代表取締役に就任した。マーケティングプランナー・ディレクターとして「〝人やモノ〟の価値を見出し持続可能な事業に取り組んでいく」と決意を新たにしている。
 水野さんは、2019年6月から、益子町の地域おこし協力隊として東京から移住。益子を選んだのは「世界に通用する価値に面白味を感じたから」で、町の観光戦略策定に携わりDMOの立ち上げや地域カード導入で中心的役割を担った。
 新型コロナにより2019年秋の益子陶器市が初の中止になったのを受け、水野さんはICTスキルを活かしてネット通販「WEB陶器市」を統括した。官民一体で、想定の4倍余りの売上げを達成し多くのメディアに取り上げられた。今春のWEB陶器市もサイトの更新、ロジックを積み上げてアドバイザーとして参画している。従来の対面の陶器市もWEB陶器市も、両者に需要、価値、利点があることをコロナ禍でより知らされた。
価値や可能性が見つかる広場
 社名のdはディスカバリングで「問題と根本的な原因を共同で明確に」、Agora・アゴラはギリシャ語で広場の意味で、「人もモノも、心地よい価値が見つかる広場」という趣旨で命名。事業内容は、デジタルマーケティング支援、地域ビジネス創出支援、サービス企画・設計・仕組化支援で、考えや実践に共感してくれる人とお互いを高め合い精進したいと意欲を語る。
人生Tの字。仕事も遊びも全力で
 水野さんは、生業と趣味をTの字に例える。自身は、主軸の縦軸を生業である本業のデジタルマーケティングとするなら横軸を楽器演奏やゴルフなどの趣味と捉える。趣味や好きなことは、遊びだから適当でよいのではなく楽しみこそ大切にしたいと話す。
 大学時代、アルバイトをしてアルトサックスを手に入れた。社会人になりジャズのビッグバンドで都内のバーで演奏したこともあり仕事も遊びも全力で取り組む。しかし、やること全てが成功ではない。時々、やってきたことの棚卸しをして、さらに上へとモチベーションを持つと自分のキャリアを形成していける。「失敗を活かしてこそ選択ができ、前を向ける」という水野さん。「益子に居ながらできることを精一杯やっていきたい」と、果てしない夢を抱きながら、気軽に訪れる人たちと会話を弾ませている。

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