古墳群に設営された挙式会場

記念植樹をする2人

橋上で記念撮影する近藤さん夫妻

ぼくらのウエディング

2人の門出を地域の人、風景が見守る
宇都宮市のカップルは古墳群で、茂木町では街中で

日々是好日

 昭和60年頃、華燭の典を挙げるカップルの数はピークを迎えた。当時、ある結婚式場では年間150組、1日6組の披露宴を行ったこともあるという。
 時代は移り変わり、平成10年代ごろから風俗や習慣、冠婚葬祭の在り様が徐々に変化し、家族や近親者のみで行われるようになり、海外で挙式等、多様化してきた。
 さらに新型コロナにより、カップルの写真撮影のみも増えている写真館もあるという。コミュニティーはより凝縮され、より深く、またインターネットの活用でグローバル化し、人と人との絆が強まっている。
古代から続く小宅古墳群の風景の中で初のフォトウエディング
 昨年10月9日、宇都宮市清原の30代カップルが、益子町芦沼の亀岡八幡宮小宅古墳群では初めての人前結婚式を挙げた。
 プロのカメラマンが開いた写真教室に参加した益子町民が『地元には桜と菜の花がみごとな古墳群がある』との情報を発信したことから、そのカメラマンが亀岡八幡宮と古墳群の整備をしている亀岡八幡宮里山の会(床井秀夫会長)に挙式会場として使いたいと相談し、快諾を得て新郎新婦に古墳群での挙式を提案、有志とプロジェクトを組んで1号古墳西側に式場を設営した。里山の会の床井会長らは「2人の晴れの門出にここを選んでくれたことは嬉しく、活動の励みになる」と、数カ月間、下草刈りをしてその日を待った。
 当日、新郎新婦は、デニムをテーマにベストや、ドレス姿で祖母や両親にサプライズで晴れ姿を披露した。家族は涙を流し、友人や里山の会の家族らも温かな拍手で祝った。新郎新婦は、12号古墳の傍に、記念にシダレザクラを植樹し、「何かあったらこの桜を見に来て初心に返り、桜に負けない笑顔の堪えない家庭をつくりたい」と話し、「里山の会の方たちに心からのお礼を」と目を潤ませ感謝した。
生まれ育った町に感謝し、地域の風景に永遠の愛を誓う
 この町に生まれ、これからもお世話になる町の人たちに、自分たちの門出を見てほしい…
 茂木町の近藤智章さん(塗装業)、ゆりさん夫妻は、10月23日、同町で神前結婚式を挙げた。地元の美容室で和装の着付けをしてもらった後、自宅近くの朱色の欄干の安養寺橋で地元の写真館に記念写真を撮ってもらった。集まった近所の人たちが異口同音にお祝いの言葉を掛けながら2人の姿を写真に収めた。歩きで八雲神社に向う途中には若い男性が自転車を止めて、「おめでとうございます。滅多に見られない光景、撮らせてほしい」と、スマホを構えた。神前挙式後、駅前の知人のレストランで身内の会食、オール茂木で晴れの日を過ごした。2人は「笑いの絶えない家庭を築くことで町に恩返しをしたい」と、誓いを新たにした。

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