公園に降りたつドローン

届いた物資を確認する石河企画課長

茂木町 ドローンで物資運搬実証実験

初の試みの県の補助事業は中山間地にマッチ
先進技術の1つで応用の可能性を探る

社会

 茂木町は2月12日、小型無人機ドローンで物資を運搬する「デリバリーシステム実証実験」を町内2ケ所で行い、スムーズな運搬に成功した。中山間地で高齢者の多い同町の課題解消のために、先進技術の1つであるドローンを駆使して今後のまちづくりに活用することが目的。町では今後、観光や高齢者支援、災害時の状況把握など、ドローンのさまざまな活用を探り、パイロット養成も視野に入れている。
 同実証実験は、県の補助事業未来技術活用促進支援事業で、同町千本に拠点を構える「NSi真岡」(水沼和幸代表取締役社長)の協力を得て、県、町職員合わせて11人が参加して行われた。県の補助で県内の市町がドローンによる物資運搬の実証実験を行ったのは同町が初めて。
 午前は、道の駅もてぎから市街地北側の城山公園までの約2・5㎞の区間で弁当を運搬した。企画課の石河敏昭課長が城山公園から道の駅にいるパイロットにコールし飛行の要請をした。ドローンは、なるべく人家を避けて、逆川、さらには坂井川の上空約70mを、位置情報を表すビーコンを点滅させながらゆっくり飛行し、特製のボックスに入った約1㎏の物資を運んだ。
 ドローンは約10分で公園に着陸。飛行音は、蜂の羽音のようで、散歩で訪れた保育園児も遠巻きに興味深く見守っていた。石河課長がボックスを開け、おにぎりと山菜おこわ計4パックが届いたことを確認し「荷崩れもなく運搬が成功した」と発表した。 
 午後は同町飯の「いい里さかがわ館」から約1・8㎞離れた焼森山のミツマタ群生地駐車場までの実験を行い、山林上空を直線的に飛んで絆創膏や消毒液を入れた薬箱を約10分で運んだ。いずれの実験も座標を入力したプログラミングにより、目視外で安定して飛行し、予定通りに目的地に届いた。
 NSi真岡のパイロットは、「ドローンは、人口の多さがネック。今回、ストレスなく実験できた。茂木ならではの応援をしていきたい」、県の担当者は、「中山間地にマッチするのが分かった」と話した。
 町は、今回の実験を検証し、今後、高齢者の生活支援、医薬品の運搬、災害時における現場の撮影と状況把握、観光施設の撮影、イノシシなど鳥獣害被害対策、不法投棄の監視、防犯パトロールなど、ドローンの応用の可能性を探りたい。町では現在ドローン一機を所有しているのでパイロット養成も視野に入れ、中山間地におけるさまざまな課題解決に取り組みたいとしている。

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