受賞した日鞠ちゃん

ピティナ・ピアノコンペティション

難聴乗り越え日鞠ちゃん優秀賞

文化

ピティナ・ピアノコンペティション東日本栃木本選が8月7日、宇都宮短期大学須賀友正記念ホールで行われ、益子町の佐藤日鞠ちゃん(認定こども園七井幼稚園年中・5)が未就学児部門で優秀賞を受賞した。補聴器を使用し、難聴を乗り越えた受賞が多くの人の感動を呼んでいる。
 同コンペティションは、参加者延べ4万人という世界最大規模で、各地で開催される予選を通過した人が出場して行われる。
 日鞠ちゃんは、先天性の中等度難聴により補聴器を使用。ピアノは2歳から始め、今春から同町のピアノ講師・三村亜紀子さんのレッスンを受けている。
 三村さんは、「難聴だからと言って演奏に求めるものは一切妥協しない」と決めて指導に当たっている。補聴器を通すと、ピアノの生の音が電子音として聴こえてしまうが、ピアノには、微妙な音の表現が求められる。表現したい細やかなニュアンスを伝えるため、長年勉強してきた『ダルクローズ・リトミック』を取り入れ、本来は内的に感じる音楽のニュアンスを、身体の感覚を通して伝えたり、曲にストーリーを付けて絵本を描いたりして、「豊かなイメージづくりに工夫した」という。
 母親の久恵さんは、「結果が出て驚いている。私が不安な中で、三村先生は、娘の潜在能力に気づき、育つ土壌を作ってくれた」と、指導に感謝している。
 日鞠ちゃんは、本選ではウォールファールト作曲/こもりうた、デンマーク曲/くつ屋のおじさんを演奏した。三村さんは、「のびのびとした中に、身につけたことをしっかりと演奏で表現し立派だった。信じていたので受賞にホッとした」と話す。
 補聴器の着装は、自治医科大学附属病院に通院しており、小児難聴外来スタッフから「日鞠ちゃんの努力とサポートが実を結んだ。これからもピアノを楽しんでほしい」とのエールが寄せられた。
 日鞠ちゃんは「入賞した時、びっくりしたけど自分をすごいと思った。ピアノを弾くと嬉しい気持ちになるので、ピアニストになりたい」と、新たな夢に向かっている。

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