和枝おばあちゃんが漬けた梅干しの甕を持つ雅子さん

梅干しの甕

梅干しを漬ける在りし日の和枝さん

試食した梅

益子町 人間国宝濱田庄司の妻和枝さんが47年前に漬けた梅

新型コロナウイルスの自粛期間に味噌小屋整理
孫嫁の雅子さんが見つけて友人らと味見し絶賛

文化

 益子町道祖土の濱田庄司益子参考館の敷地内にある味噌小屋から、人間国宝故濱田庄司氏の妻和枝さんが47年前の昭和49年に陶製の甕に漬け込んだ梅が未開封のまま発見された。
 庄司・和枝さんは、陶芸家で益子参考館館長を務める濱田友緒さんの祖父母。梅の甕は、妻の雅子さん(48)が、コロナ禍の自粛期間中に小屋などを整理して発見した。
 カメはビニール袋に包まれ、蓋の上の張り紙に「49、8、10 白ザラメ150cc しょうちゅう二カップ」と赤いマジックで記されていた。蓋を開けると白く塩のようなものが吹いていた。
 6月27日、雅子さんは知人らと試食した。「酸味がまろやか」「47年も経っているのに、ねっとりと、ほどよく果肉が残っているのは糖分や焼酎がはいっているからか」「貴重すぎてもったいない」など、さまざまな感想を語り、異口同音に「とてもおいしい」と味わった。
 雅子さんによると、濱田家にはかつて道路下の畑に梅林があり、和枝さんは毎年、大量の大きな実で梅干しを漬けていたという。「和枝おばあちゃんとは嫁いでから約一年間、一緒に住んだ。自然の暮らしを実践する人だった。亡き後、植物やお料理の記録がたくさん見つかった」と話し、「ザラメの量をccと書いたのは計量カップで計ったのかもしれない」と、記録の大切さを改めて学び、嫁いで以来梅干しを作るように努力し、祖母の几帳面な仕事に思いを馳せている。
 味噌小屋には、ほかにも数個の甕があり何が入っているかと思いを巡らし、「コロナ禍で自粛が強いられる中でも喜びは見出せるものだと、おばあちゃんから教えられた気がします」と前向きに捉え日々を彩っている。

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