聖地・甲子園で堂々の入場行進

武藤 匠海(上三川中出身)

上野 飛馬(長沼中出身)

勝利の校歌を歌う作新ナイン

磯 圭太(明治中出身)

塙 綸ノ亮(芳賀中出身)

澤田 秀翔(清原中出身)

センバツ 作新、23年ぶりベスト8

「全員野球」貫き快進撃

スポーツ

第95回記念選抜高等学校野球大会(センバツ)に出場した作新学院は、初戦となる2回戦で大分商(大分)を8―6、3回戦では昨秋の四国王者・英明(香川)を9―8で破り、2000年以来23年ぶりのベスト8進出を果たした。準々決勝では優勝した山梨学院(山梨)に3―12と力負けしたものの、3試合で計30安打、20得点と自慢の打力をアピール。最後まで諦めない「全員野球」で甲子園に爪痕を残した。(写真提供は作新学院)

~強力打線が本領発揮~
 大分商戦は二回、武藤匠海(上三川中出身)、澤田秀翔(清原中出身)の連打でチャンスをつくると、1死二、三塁から上野飛馬(長沼中出身)がライト前に先制の2点タイムリー。その後も打線がつながり、4―0とリードを広げた。
 公式戦初打席でタイムリーを放った上野は「次の打者につなぐ意識で打席に入った。バッティングは好調だったので、自信を持って初球からスイングできた」と喜んだ。
 1点差に迫られた七回の守りでは、2死満塁のピンチを磯圭太(明治中出身)が三振で切り抜け、その裏には上野がこの試合3打点目となるタイムリーを放った。
 九回は2点差とされ、なお1死一、二塁のピンチを迎えたが、レフトへの飛球で二塁を回っていた一塁走者が帰塁の際に二塁ベースを踏まなかったとして、アピールプレーにより併殺が成立。珍しい形でのゲームセットとなったが、磯は「審判の協議中も、次の打者を抑えてやるという気持ちだった」と集中力を切らさず、ショートを守っていた上野は「二塁ベースを背にしていたので、一塁走者の動きはわからなかった。周りが的確に指示をしてくれた」と最後の場面を振り返った。
 英明戦は、中盤までロースコアの展開が続いていたものの、六回に集中打を浴びて1―4とリードを許した。作新も七回、途中出場の塙綸ノ亮(芳賀中出身)のタイムリーなどで1点差に追い上げ、八回には磯のヒットを皮切りに、塙の2打席連続となるタイムリーなど5安打を集中し、7―4と逆転に成功。塙は「打線が勢いづいていたので、流れに乗って打つことができた」とチーム一丸での好結果を強調した。
 しかしその裏、この試合2度目の登板となった磯が逆転3ランを被弾。「ボールが先行してしまい、置きにいったストレートを狙われた」と失投を悔やんだ。
 土壇場で1点のビハインドとなったが、九回1死一塁で打席が回ってきた武藤は「磯は中学時代(栃木下野リトルシニア)からのチームメイト。自分がやり返すしかない」と2球目を強振。乱打戦に決着をつける、レフトスタンドへの決勝2ランとなった。磯は「自分のせいで負けると思ってしまったが、勝負強い武藤が打ってくれた。本当に頼りになる仲間」と殊勲打を称えた。

~心に響いた大声援~
 準々決勝の相手は、昨秋の関東大会を制した山梨学院。関東第5代表の作新は挑戦する立場だったが、先発投手の乱調で序盤から大量リードを許す苦しい戦いを強いられた。
 2試合連続で2桁安打を記録していた好調の打線も、相手投手のテンポ良い投球に抑え込まれ、3点を返すにとどまった。
 聖地での3試合を振り返り、澤田は「甲子園の大声援は心に響いた。夏にまた戻ってこられるよう、チームの勝利に貢献したい」と誓いを新たにし、上野は「ベスト8は、スタンドの部員や応援団などを含め、みんなでつかみ取った結果。チーム内の競争は激しくなるが、夏も必ずベンチ入りを勝ち取り、全力でプレーしたい」と意気込みを語った。
 春季県大会では、センバツ出場時から大幅にメンバーを入れ替えたものの、優勝して層の厚さを見せつけた。約1カ月後に迫った夏の県予選に向け、チームはさらなるレベルアップを目指し、日々鍛錬を続けている。

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