2月11日に益子町民会館で行われた通し稽古

11、12日茂木 25、26日益子 命の尊さ、平和の重み訴え

いわむらかずお原作絵本 ミュージカル化

催し物

茂木町を拠点にするアマチュア劇団「もてぎde演劇を創る会」(小堀志津枝代表代行)が、益子町在住の絵本作家いわむらかずおさんの絵本「ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ」をミュージカル化、3月11、12日に茂木町、25、26日に益子町で上演する。舞台化を熱望しながら昨年11月に病に倒れた前代表渡邊力栄さん(享年89)の遺志を継ぎ、キャスト、スタッフ総勢60人は最後の追い込みに余念がない。
茂木のアマ劇団、前代表遺志つなぐ
2月11日午後、益子町民会館。益子での初の通し稽古が行われた。全2幕、約2時間強の舞台。「自分のせりふは誰に話しているのか。気持ちを思い切って出して」。脚本、演出を担う江藤寛さん(83)はキャストに演技指導する。江藤さんは2014年に上演したミュージカル「奇蹟の朝に…」の演出から同団と関わっている。
 原作は真岡鐵道をモデルに、いわむらさんが38年前に描いた絵本。ミュージカル化を希望していた渡邊さんが5年前にようやく了解を得、江藤さんがいわむらさんと何度も話し合い、脚本化した。
 開発によってすみかを追われたネズミ、フクロウ、サルなどの野生動物たち。人間とどう対峙するのか、話し合いの場に向かうため列車に乗り込んでくる。最終列車に偶然乗り合わせた若い画家が体験する夢か現実かの世界が展開される。
 当初、2020年上演のため、配役を決め練習を始めた矢先のコロナ禍で活動がストップ。3年間のブランクを経てようやく公演にこぎ着けた。結婚や出産、親の介護、病気などによる団員不足が判明。江藤さん創設の日光市の「劇団today」から助っ人協力もあり、昨年6月から毎週土曜日の稽古を重ねている。
 環境破壊、人間と野生動物の共存などのテーマに加え、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などもあり、命の尊さ、世界平和も訴える内容。くま役(バリトン)で県オペラ協会長の村山哲也さん、上野哲生さんの音楽を茂木町出身のフルート奏者栗田智水さんらが生演奏し舞台が進行する。江藤さんは「時間がかかった分、十分発酵してきた。必ず感動していただける舞台になる」と力説した。
 茂木町はゆずもホール、益子町は町民会館で上演。チケットは大人千円、小中高生500円。問い合わせはミドリ写真館0285・63・0230。

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