作品「天女十二楽坊(marimba)」と稲葉さん

キラリ人生 感動を呼ぶ稲葉校長の彫刻展

ふみの森で1/24まで~天女、雲上の調べ~
想像力と芸術の持つ情操の大切さを今に

日々是好日

 彫刻家で茂木中学校校長の稲葉守さん(59・宇都宮市氷室町)による個展「~天女、雲上の調べ~」が茂木町のふみの森もてぎギャラリーふくろうで開催され、ケヤキをメインに一木から彫り出した作品が多くの感動を呼んでいる。
 作品は、20年来取り組んでいる「天女十二楽坊」、5年前からの「SPROUT・スプラウト」両シリーズで計16点を展示。受賞作品などこれだけ一堂に展示するのは今回が初めて。
 稲葉さんは芳賀町生まれ。宇都宮大学教育学部美術科卒。県芸術祭彫塑部門芸術祭賞、二紀展U氏賞など多数。二紀会会員。
 大学時代から約40年彫刻を手がけている。稲葉さんは、「太古の人たちは天女や龍など、雲上の見えない空想の世界を信じて畏れ、解明に想像力を働かせていた。現代は、科学や文明が発達した分、想像力が薄れてきた。知らないことに想像を働かせる感性は自分なりに大切と思う」と20年前から天女シリーズに取り組んでいる。 
 自宅の工房で樹齢数百年のケヤキなどをチェーンソーで粗削りし、ノミで彫り出す。一木から彫るものや、組木のような寄せ木づくりで制作している。組木の技法により、内包する量感を可能にしており、一体の制作に4~5ケ月を費やした。
 稲葉さんは「制作過程を、空想する感覚で鑑賞してもらえたらありがたい」と話す。
 天女シリーズは、雲上で天女がバイオリンやフルート、マリンバなどの楽器を奏でる作品、スプラウトは命の芽吹きを抽象的に表現。来場者は、木目の美しさと同時にしなやかで躍動感あふれる作品を興味深く見入っている。
 家族と訪れた同町の山口愛花ちゃん(8)は「かっこいい」と、目を輝かせながら様々な角度から鑑賞していた。
 会場では新型コロナ対策として手指消毒、マスク着用、また来場者に住所氏名などの記入の協力を呼びかけている。(問)ふみの森もてぎ☎0285・64・1023

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