まもなく納める赤松と菊地さん夫妻

菊地さんに近づくヤマガラ

キラリ人生 日光二荒山神社に正月飾りの松・竹を納め10年

人と野鳥のしあわせ願う
益子町大沢  菊地孝夫さん(75)ヒロ子さん(74)

日々是好日

 ユネスコの世界遺産に登録されている重要文化財・日光二荒山神社。同神社では、良い新年になることを願って、今年も幣束づくりが行われた。
 菊地さん夫妻は10年余、日光二荒山神社の幣束づくりに使う篠竹、大鳥居や神橋に飾る正月飾りの松を納めている。
 和紙で作った幣束は30㎝の長さの篠竹に挟んで頒布されるが、その篠竹を菊地さんが納めている。今年もヒロ子さんと山から切り出して1800本を運び込んだ。篠は、今年生えた新しいもので「みんなに幸せを運ぶ役目をするので心を込めて切っている」という。
 外孫の小林愛奈ちゃん(七井中3年)が2年前、県の「とちぎの百様」ジュニアコンクールで作文「日光二荒山神社と竹」が知事賞を受賞した。作文に、祖父母が寒い中、竹や松を納品している姿に誇りを持ち、自分も竹切りを手伝った。町の資源が県を代表する場所に使われていることを光栄に思うなどと綴った。当時、福田知事が『作文から日光二荒山神社に使われているのが益子の松や竹と知った』とコメントした。
 菊地さんは、畑で苗木から赤松を育て、今年も年末に納めるという。そんな菊地さん夫妻のもう一つの楽しみは、庭先に現れる野鳥のヤマガラ。友だちからもらった落花生の選別で、食べない豆を放っておいたのをヤマガラが食べにきたことをきっかけに、餌台を作り、買ってきた落花生を置いている。木の実や虫が無くなる冬場は餌探しで毎朝「ビービー」とヤマガラの鳴き声で大にぎわい。
 真岡市の根本山自然観察センタースタッフの浜野正行さんは「ヤマガラは留鳥で年中見られる人懐こくきれいな鳥。エゴの実が好物で、冬場は餌探しに飛び回る」と話す。
 ヤマガラは、菊地さんが納屋に行くと、モチの木、エゴの木を渡って追いかけ軽トラの荷台に止まり寄ってきて、ヒロ子さんが洗濯を干しに庭に出ると、山からすぐに飛んでくる。二人は「あら、来たの?」「ほーら(餌)まってろ」と話しかけ、落花生を置くと足元の豆を咥えて木の上で「ピピピ」と喜んで食べる。友人の佐藤敬司さん(72)が、この微笑ましい光景を柱の陰から写真に収めてくれた。
 菊地さん夫妻の一日は、野鳥と共に笑顔で始まる。

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