校舎前で標識プレートを中村支配人(右)に手渡す小﨑副町長

約75mの長い廊下

茂木町 旧木幡小校舎が国登録有形文化財に

先駆的建築技術は貴重な国民的財産
廃校を甦らせ「昭和ふるさと館」として活用

文化

 築87年になる茂木町木幡の旧木幡小学校の木造校舎が今年2月、国の登録有形文化財(建造物)になったのを受け、文化庁から町に標識のプレートが交付された。プレートは4月27日、小﨑正浩副町長から校舎の建物を賃借している管理者の中村利美支配人に手渡された。
 旧木幡小の前身は明治5年にできた「聚分舎・しゅうぶんしゃ」で28年に慈眼寺から現在地に移転。今回、登録を受けた校舎は、児童増加に伴い逆川村有林から切り出した杉、松材を使って建てられ昭和9年に完成し、平成18年3月31日132年の歴史に幕を閉じた。
 木造平屋建て桟瓦葺切妻屋根で、延べ床面積75万6055㎡(約75・5m×約10m)。基礎工事は当時最先端のコンクリート基礎で、校舎中央の正面玄関は「腰折り屋根」の洋風建築が採用されている。窓のガラスや使用した釘も真鍮の手づくりで、設計・施工者は不明となっている。昭和31年に制定された日本工業規格木造校舎の構造設計基準(JIS―A3301)と類似した規格であることから制定前の先駆的な建物で、一直線に伸びた約75mの長い廊下、高さ3・636mの天井が印象的な建物。
 前文科省・林野庁学校の木造校舎を考える研究会委員の小﨑副町長は、「当時の建築技術のすごさに改めて敬意を表したい」と話す。
 中村支配人は、「廊下やガラス窓、玄関の屋根などの貴重な宝を残したい」と、旧木幡小を町から借りて12年前、昭和を体験できる「昭和ふるさと館」や宿泊施設をオープンさせ、有効に活用し多くに親しまれている。
 プレートは校舎の正面玄関に掲示している。

今号の記事

カテゴリー一覧