笑顔で整備に励む左から舘さん、小久保さん、小玉さん、大槻さん

落ち葉が積もった整備前の山道

地域の絆 篠藪を刈り昔の林道を蘇らせる

鎌や熊手で山も心も美しく
益子町山本  郷山クリーンガールズ

日々是好日

 昨年の冬から、山本地区の女性4人がうっそうとした山の篠や小枝を切りながら、林道の整備をしている。作業を終え山から戻ると「あそこはもうちょっと枝を落とした方がいいね」「ホタルや沢蟹がいるから整備に気をつけよう」「向うの『赤ぼっけ』山、サンシャインホテル、生田目の遊歩道とも繋がるといいね」と、目を輝かせながら自然の生態系や目標を語る。
 大槻恵子さん(65)は、2021年1月2日、コロナ禍で地域の新年会や子ども育成会のお囃子が中止、さらに子や孫たちも帰省しないため、ご主人の征夫さん(68)と昔話に花を咲かせた。征夫さんが「60年前、裏山の木々は子どもの腰くらいだった。今はどうなっているのだろう」と思いを巡らしたことをきっかけに夫婦で登ってみた。案の定、山道は落ち葉が何十㎠も積もり、木々や篠がうっそうとしていた。町有林は町に、個人の山は地権者の了解を得て2人で山道を歩けるようにした。
 翌月、恵子さんは地域の女性たちに「山好き?」と声をかけた。小久保ふみ子さん(62)は、「山が好きなので声をかけてもらってうれしい」と、4月には舘明子さん(48)が「山大好き。行きます!」と二つ返事。そして木の切り方や始末の仕方が上手で頼りになる小玉延子さん(69)が「みんなといると楽しい」と5月頃から参加、心強い「郷山クリーンガールズ」が揃った。
 以来、4人は徐々に用途に合わせて自分用の鎌やノコギリ、熊手、鋏を揃え、日・火曜に活動。山の持ち主が『聞いてはいるけれどどこにあるか知らない』、という「古屋城址」の「烽火台」も発見。1年半が過ぎた今では、約2・5㎞を周遊できるようになった。活動は蜂が飛ぶ8月は休み、9月から再開する。
 遊歩道は恵子さんが営む「郷山カフェひだまり」の裏手から登れ、里山を見渡す絶好ポイントだ。カフェに集う地域の男性陣も「倒木や太い木は切ってあげるよ」「散歩コースを林道に変えたよ」など、地域の支援や交流の輪が広がっている。
 女性たちは「樹木を切る角度、狸の巣を発見したり習性を知ったり、作業の会話や自然観察が楽しくためになる。山をきれいにすることで心が洗われる。よかったら山の空気を吸いにきてほしい」と笑顔で呼びかける。
(問)ひだまり☎0285・72・0706

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