筆を持つ重原さん

重原さん(市貝町)が県文化功労者

中学時代に書に出会い70年
下野書道会設立など県書道界をけん引

文化

 市貝町赤羽の書家、重原道雄(みちお)さん(87)=雅号・聖鳥(せいちょう)=は11月11日、栃木県公館で2020年栃木県文化功労者として表彰された。
 重原さんは、約700年続く慈眼寺(じげんじ)の第42代住職を務める。書道との出会いは旧制真岡中時代にさかのぼる。重原さんは同中最後の入学生で、当時盛んだったサッカー部で練習に励んだが、体を壊してサッカーを断念。次に将棋に夢中になり大人と指していた時に、将来住職になるためにと書道を勧められ、本をとって書の稽古を始めた。
 大正大に進学し、下宿した寺の住職が書の大家でここでも書を勧められ、旧制中学時代に書の雑誌で憧れ、後に文化勲章を受章する書家金子鴎亭氏の門を叩いて弟子入り。墨磨りから道具、心構えまで一から書を学んだ。
 大学卒業後は作新学院高等部の書道科教諭として42年間、書道教育に尽力した。
 勤務先の作新学院の理解もあり、金子氏が主宰する創玄書道会の参加や全日本高等学校書道教育研究会で副会長を務めるなど、書道の普及・発展に貢献した。
 栃木県書道連盟では30代で幹事に就任以来、会長を経て現在常任顧問。市貝町文化協会、下野書道会の設立にも奔走し、栃木県書道界のけん引役として尽力した。さらに創玄書道会審査員、毎日書道展審査会会員など中央書壇でも広く活躍している。
 昭和60年、NHK文化センター宇都宮教室書道の講師となり、現在に至っている。
 重原さんは「受賞は県書道界の先生方が地道に和気あいあいと活動してきた功績のたまもので、私が代表として頂いたと思っています」と述べている。

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