國母さん、妻・幸子さん、研修生の安田さん

食の安全と美味しさ伝え

真岡市 國母さん

文化

無農薬、有機肥料で米、麦、大豆などを栽培する真岡市寺内の國母克行さん(67)は「持続可能な農業を実感しています」と日に焼けた顔で微笑む。
 國母さんは58歳で会社を退職、それまではサラリーマンとの兼業農家だったが、血圧やコレステロール値が高く健康に不安があったことから、自分の健康改善や農業を通した社会貢献をしたいと退職後エゴマ栽培を取り入れた。その後シンポジウムで農薬の危険性、特に子どもたちの成長への影響の大きさを知り、農薬、除草剤、化学肥料完全不使用の農業に取り組んでいる。
 肥料は、出荷できない大豆や菜種を絞った後の油粕などを水田や畑に撒き、購入肥料は使用しない。土が柔らかくなり、作物や草が容易に抜けるようになったのを実感している。パン、うどんも製造し、季節の野菜を取り入れればほぼ自給の生活と言う。
 農産物は直売を中心に口コミで広がったグループなどに販売しているほか、大豆は市内豆腐店、ビーツは市貝町のロシア料理店に契約栽培で販売している。「食が細くご飯を食べなかった孫が食べるようになった」「野菜嫌いだった子どもがこくぼ農園の野菜はモリモリ食べる」などの感想も寄せられ、子どもの味覚の鋭さが栽培の励みにもなっている。
 有機JAS認定取得、民間稲作研究所(上三川町)副理事長を務め、敷地内にエゴマや菜種などを搾れる搾油施設も整えてあることから、見学者や農業体験、有機栽培指導を乞う人たちが多く訪れる。
 農薬類や化学肥料は石油を大量消費するので、現在異常気象で問題となっているCO2削減にも貢献している。
 國母さんは「日々の作業は絶え間なくあるが、ストレスを感じることはありません」と妻の幸子さんと2人3脚で、有機栽培研究に余念がない。

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