(上左から)中三川消防長、梅野さん、竹澤さん、小林次長(下左から)市川さん、壁屋さん、安田さん

石田さん

6人の救命リレーで社会復帰に導く

芳賀地区広域行政事務組合消防本部消防長が感謝状
「助けたい」という行動が連鎖

社会

 真岡市総合運動公園で開かれていたテニス大会中に倒れ心肺停止となった男性を、周囲にいた6人が自動体外式除細動器(AED)を使用するなど、見事な連携で救命処置を行った。男性は救命救急センターに搬送されその後社会復帰を果たした。芳賀地区広域行政事務組合消防本部は4月20日、一刻を争う救命処置を機敏に行った6人に感謝状を贈り、「助けたい」という思いを共感、連鎖させたことを称えた。
 真岡市小林の市総合運動公園内テニスコートで令和2年12月13日、心肺停止に陥った男性に対し、居合わせた6人が人命救助を行った。
 傷病者は当日、真岡テニス協会主催のテニス大会で、ダブルスの試合中に卒倒し心肺停止状態となった。この男性に対し真岡テニス協会の壁屋行雄会長(72)、会員の竹澤信隆さん(47)、安田優子さん(49)、市川泰世さん(48)、梅野洸輝さん(27)、公園の管理委託会社社員の石田広樹さん(42)が冷静な判断のもと、AEDを使用して、緊密な連携と適切な救命手当てを行い、救急隊が到着した時には心肺、さらには、呼吸も再開し栃木ドクターヘリで救命救急センターに搬送された。男性は、現在無事社会復帰を果たしている。
 壁屋さんは「初めての事で現場も騒然としていたが、周囲の助けたいという気持ちが連携に繋がった。助かって本当に良かった」と話した。安田さんは「無我夢中だった。1人では何もできなかったと思う。呼吸と意識が戻った時はホッとした」と話し、市川さんは「自分の判断で行動しなくてはいけなかったので不安もあった。冷静に対応できたのは、周りに『助けよう』としてくれる方が居てくれたから」と当時を振り返った。
 傷病者の命を救い、社会復帰に導く為に必要となる一連の行いを【救命の連鎖】という。救命の連鎖は、『心停止の予防』『心停止の早期認識と通報』『一時救命処置』『二次救命処置と心肺再開後の集中治療』の四つの輪で成り立っており、この四つの輪が途切れる事なく、素早くつながったことで救命できたと考えられる。
 表彰式で芳賀地区広域行政事務組合消防本部の中三川祐二消防長は、「命のバトンを引き継ぐ『救命のリレー』を途切れさせないために、多くの関係者及び現場に居合わせた人々が「何か一つでも」との思いで行動して頂いたことが救命に繋がった」と話し、「いざそのような状況で対応するのはとても難しい事。6人は地域住民の見本である」と感謝を述べた。

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