自作では最大の縄文作品と百合子さん

キラリ人生 陶芸の町に生きて

土・人・自然に励まされて得た故郷
益子町サヤド  古川百合子さん(74)

日々是好日

 大の男3人の手を借りて登り窯から窯出しした現代縄文の壷。1ケ月かけて手びねりで制作した。高さ82㎝、径62㎝、これまでで一番の大作で主宰するギャラリー「野の花の道」の中央にセットした。旧知の間柄の真岡市の産婦人科医・柳田千代雄さん(79)が作品のスケールに「すごくいい」と感嘆の声を上げた。
 1人の陶芸家と焼き物の奥深さ、豊かな自然に魅せられ、42年前、医師で夫の哲夫さん(73)と共に益子住民となった。
 その陶芸家とは、職人気質で人間味あふれた通称「ツーやん」こと成井恒雄さんだ。蹴りろくろを引き、登り窯で焼く作品は、豪快で内から湧き上がるような柔らかなフォルムで、亡き後もツーやんの人柄と作品に魅了される人が後を絶たない。ご主人が益子に内科胃腸科の病院を開院したのも彼がいたからこそ。
 百合子さんは、ご主人を通じてツーやんと知り合った。絵の道を歩んでいた百合子さん。ツーやんの花器を描き始めた時、今までに見たこともない内側からの力を強く感じ「この作品はいったい何なんだ」と驚いた。42歳で陶芸を学んだ。自分用のコテを作っている時、ツーやんは『草の一本いっぽんを見ろ。ススキのような雑草の葉がしなる曲線がいい』と言った。細工場から家路に向かう道すがら草を観察し、自然の大切さを教えてもらった。
 県北で見た縄文土器に魅せられてから30年経った今、自称「古川縄文」が誕生した。縄文人との共通性を木や土や自然と捉え環境問題にも心を寄せる。「益子は、くじけそうになった私に生きる勇気をくれた故郷。藤沢市育ちだけどここが故郷。せっかく掴んだ故郷益子を大切にしながら〝古川縄文〟に挑戦し続けたいわ」と笑う。

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