応援する側にとって誇らしい存在に思って貰えるように

#31 豊田陽平選手

スポーツ

7月5日、元日本代表でJ1サガン鳥栖から栃木SCに移籍した豊田陽平選手。移籍後14試合連続スタメン出場し、2ゴールを記録している豊田選手に話を聞いた(10月末取材)。
‐現時点での自己評価は
 100点満点中45点。もう少し得点に絡んだり、勝ち点を獲得したりしているイメージで加入したので、物足りないです。そのチームの特色や歴史、大切にしてきたものは少なからずあります。どういうプレーヤーでいるべきか、指針なども踏まえながら、自分はこのクラブに来てやれると思ってきましたし、いざ加入してみて、違いはどうしてもあるとは思っていた中でも、正直面食らった部分はあります。そこに少し時間を要してしまいましたし、現時点でも、『降格圏』というワードが付きまとう順位にいる。予断を許さないという状況が、まだまだ自分が持っている力を発揮出来てはいないと思いながらプレーしています。
‐年下の選手が多い中で心がけている事は
 J1から来て、「経験あります。元日本代表です。ここダメだからこうしろ!」という意識で来ていないですし、同じ選手として年齢関係なく勝負したいし、その中で経験を生かす事はします。偉そうにするのではなく、みんなで切磋琢磨してチームを上昇させる気持ちで来ました。指導されて矯正された事はその瞬間やある一定期間でしか修正出来なくて、立ち振る舞いやヒントを与える言葉や接し方、そういったところで気付きをより多く芽生えさせないといけない。僕は実際サッカーが下手で、自覚するのにそんなに時間を要さなかったんです。その中で生き残る為に、足りないものを補うのか、長所を伸ばすのか、若いうちから比較的捉える事が出来ましたし、ピッチ内外で自分がどうあるべきかすごく重要視してきました。今すぐにじゃなくても、若い選手が30歳を超えて来て、「あの時豊田さんがあんな事を言っていたのはこういう事だったのか」という事を5、10年先で点と点が繋がってくれれば、その人は成長しているだろうし、自分の行動や言動で感じるものがあれば来たかいがあります。
‐サッカーを続けられる原動力
 心の炎は常に燃やしてきました。その燃料が沢山あって、成し遂げたいものや家族を幸せにするために自分はサッカー選手として良い方向に導きたいとやってきました。でも、それがサッカー選手じゃない方が良いというのであれば、未練なく辞められます。野球でも日本代表になった自信がありますが、自分が表現できるのがサッカーだった。次のセカンドキャリアもしっかり頭を使って、自分の強みをどう生かせるか考えながらやっていきたいですし、自信があります。ただ、今はサッカー選手として、やってきた事が全て正しいとは思っていませんが、答え合わせの旅に出ています。
‐サポーターや子ども達に対する思い
 ファン、サポーター、県民の皆さん、子ども達には、地元にプロサッカーチームがあるという事を誇らしく思って欲しいです。地元にプロサッカー選手が生活していて、試合を見る、存在を把握する事によって、何かを感じ得られるものがあると思っています。良い影響やポジティブに感じて貰えるものがあると思ってやっているので、県民にもっと認知して貰いたい。応援する側にとっても誇らしく思って貰えるように僕達は頑張らないといけない。更に未来ある子ども達には、身近に感じて貰って、常に地元のクラブを目標にして尚且つ、その先の海外クラブに目を向けられれば。子ども達の可能性は無限大なので、興味を持って、大人の価値観を押し付けるのではなく、自分が選択する人生にして欲しいです。そして、栃木SCを子ども達のプロ意識を芽生えさせて、可能性を広げられる存在にしていきたいと思っています。
‐残り試合の意気込み
 目標は残留ではなく、成し遂げた事のない一桁順位というところは変わらず、そこを目標に結果残留しているのがベスト。残留ありきの目標ではなく、しっかりと歴史をつくるところをトライしたい。
―ありがとうございました。

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