田上教育長(右)に書籍を手渡す齊藤代表取締役

寄贈された書籍

齊藤敏彦ホンデン製作所代表取締役が書籍120冊寄贈

2021NHK大河ドラマの主人公
2024年から新1万円札の肖像画に採用
真岡市ゆかりの渋沢栄一をもっと知って欲しいと市内小中校他に

社会

 真岡市にゆかりのあるNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公で、2024年度発行予定の新1万円札の肖像画に採用されている渋沢栄一(1840~1931)についてもっと知ってほしいと、同市柳林の株式会社ホンデン製作所の齊藤敏彦代表取締役(56)が3月5日、市教育委員会を訪れ、市内の小中学校他に「地域振興陰の立役者・とちぎに生きる渋沢栄一」(下野新聞社編)の書籍120冊を寄贈した。
 寄贈式で齊藤代表取締役は、田上富男教育長に「この書籍を手にし、渋沢について調べていく中で、児童生徒に渋沢と真岡の関係をもっと知って欲しいと思った」と寄贈の動機を話した。
 書籍は四六判143ページ。市内14校の小学6年生全28クラス、9中学校の普通学級全76クラスにそれぞれ1冊、市内の図書館3館に各5冊、市に1冊が配布される。
 まえがきで、渋沢は「日本資本主義の父」と称され、現在のみずほ銀行や東京ガス、東京海上日動火災保険、王子製紙、東急、キリンホールディングス、サッポロビールなどの企業を育てたなどと紹介されている。
 真岡との関わりは第2章の「渋沢一族が真岡で経営柳林農社」に綴られ、渋沢が新一万円札の肖像に決まったことを契機に市独自にデジタル教材を作成し講話を行っている様子が掲載されている。渋沢は、明治7年、いとこの喜作ら一族と河岸として栄えていた鬼怒川沿岸の柳林に蚕種(蚕の卵)製造と製茶を目的とした市内初の株式会社「柳林農社」を創業。当時、柳林は渋沢とかかわりのあった一橋家の領地だった。
 跡地は、平成5年、ホンデン製作所が譲り受け、柳林工場を建て本社を移した。
 「平成になって広く知られた柳林農社」では、2003年にホンデン製作所で保管されていた貴重な柳林農社関連文書類を市教育委員会が解読調査したと記されている。
 田上教育長は「教科書に渋沢について詳しくは取り上げられていないので書籍はありがたい。デジタル教材と共に書籍を活用していきたい」と感謝していた。
 齊藤代表取締役は、「渋沢がクローズアップされている中、柳林農社の跡地をお預かりした重みを感じている。末永く続く会社をめざし約90人の従業員全員にも書籍を配った」と話し、地域の歴史を紐解く一端になることに期待していた。

今号の記事